From Tenerife ・テネリフェから

テネリフェに住む翻訳家の英詩、写真、絵画、音楽、スペイン語など

日本語の詩2つ

ひとかけのガラス

 

指からにじみ出る血が床に滴り、

模様を描いてゆく。

その血痕は、長い年月を経て、

しだいに消えてゆく。

たったひとかけの小さな破片の残した傷は

その時は痛くないものの、

雨の降りそうな日に

思い出したように痛み出す。

 

 

影と幻想

 

昼間は影の奥に隠れ、

夜になるとその姿を表す。

私はその幻想を恐れる一方で、

心から待ちわびている。

 

日本語の詩を2つ書いた。これはいずれ、英語にもする。

日本語で書くと、ひどく暗いけれど、英語で書くと、変な暗さは消えると予測している。