From Tenerife ・テネリフェから

テネリフェに住む翻訳家の英詩、写真、絵画、音楽、スペイン語など

ハリケーンは遠ざかったーバベルの塔を考える

ハリケーンが遠ざかってくれたおかげで、ここ数日間見られなかった、青空や、テイデ山を見ることができた。

ハリケーンや台風は、海をかき回し、海水に空気を混ぜ込むので、来てくれなくては困るものなのだけれど、自然現象と、都市の構造がうまく咬み合わないと、被害が大きくなる。最近の気象変化は、大きな被害をもたらしている。

 

地震や台風、火山の噴火などの災害と呼ばれるものは、本来は、地球の維持のために役に立つものだろうと思う。しかし、人間は、そうしたものを十分考慮にいれず、都市というものを築いてきた。

バベルの塔という話は、人間の都市計画は、始まりから既に、大きな問題を抱えていたことを示す。つまり、人間がなぜ、都市に集中するのかという理由を考えると、バベルの時代から、人間は、欲に駆られ、野望を持ち、利己的な利潤追求を始めていたことがわかる。数千年後の現在、深刻な問題が、その結果として現れている。

 

Hebrew word Babel (βαβὲλ), meaning "confusion"

バベルというのは混乱。

 

人間のバベルの塔建築の意図は、皆で一つのところに集まり、神に対抗しようと言う試みだった。神は人間の言葉を混乱させた。今まで一つの言葉だったのが、それ以降、幾つもの言語にわかれた。

人間の団結の試みは、全く逆の、分裂という結果を招いた。それは、主に言葉の混乱を通して行われた。ここで、言語というものの重要性が強調されていないだろうか。

言語の分裂は、旧約聖書に使用されていたヘブライ語が理解できなくなるという結果を招いた。一部の、神に忠実だった人々は、そのままヘブライ語を引き継いだのだけれど。

利己的な利潤追求を目的とした人生を非とする旧約聖書の教えが、大多数の人々には理解できなくなった。(その頃は聖書はなく、口伝えの教えだった。歴史は、アダムの書というものが、モーセの時代にあり、それを元に、モーセは聖書を書いた。)神からの疎外、神を信じていない人ならば、宇宙の原則からの疎外と言ったほうが、理解しやすいだろうか。人間は、宇宙の中で、孤立してしまったのだ。だから、その原則に対抗する。

 

人間の都市計画は災害と呼ばれている自然現象に対抗して行われるが、上のことから、人間の都市計画は、むしろ災害になりうる自然現象と融和して行われるべきではないだろうかと、ハリケーンの遠ざかった空を見て、考えている。