From Tenerife ・テネリフェから

テネリフェに住む翻訳家の英詩、写真、絵画、音楽、スペイン語など

自我の芽生え、遅い、または芽生えない

慶応大教授の「洗脳不倫」騒動 女子大生「奪還」の一部始終 - ライブドアニュース

 

被害者は21歳。大人だ。

問題の教授と交流を持ち始めてから、家族をなじるようにいなった。性格が変わったということだけど、私の推測では、やっとこの人の自我が芽生えてきたのではないかと思っている。

もしかしたら親がやらなきゃいけないことを、この教授がやっていたのかも知れない。

20近くになっても、子供のままの日本人が多すぎる。

 

洗脳というが、日本社会が一般的に提供するものとは異なるイデオロギーが紹介された時に、それに傾倒すると、洗脳とよぶ。それなら、もっと土台のある考えを、子供に教えていたら良いのではないか。子供は、その考えを、周囲の考えと比較しながら、自ら選択してゆく。環境からの影響は、考えるよりも大きなものだ。子供は周囲の考えにさらされて、自分の教えられてきたことを、吟味し、自らなにを信じるかを選択してゆく。これができたら、理想的だ。

親は、自分の信じていることを子供にきちんと教え、子供にその考えを比較、吟味する機会を提供する。

もし、親が何も考えていなかったら、そういうことはできない。

 

こういう事件が、事件とされること自体、社会に問題がある。

 

悪いけど、教授の洗脳不倫ではなく、ただの不倫だ。

教授が脳を洗ったんじゃない。もとから、脳には何も入っていなかったのだ。

 

もうひとこと加えると、イスラム教は一夫多妻が許されているので、この教授からすると、これは不倫ではない。

私は、クリスチャンなので、一夫多妻は自分では許容しないし、この教授のやったことがいいと言っているわけではない。本人たちも、周囲の人々も、大変疲れただろうと思う。そういう点では、気の毒だと思っているけれど、物事というのは、あらゆる側面がある。自分たちの持っている、善悪の概念で、いろいろなことを裁いてゆくのは、一神教のキリスト教徒でもやってはいけないことだろう。それは、宗教的自分の信条に対し、妥協することではない。むしろ、自分の信条を尊重して欲しいと、本当に思っているなら、他の人の信条も理解すべきだと思う。理解と、実践は、別物なのだ。

時に、道徳的に理解できない、宗教的信条もあるだろう。

しかし、それは、そうしたことを信じている人間そのものの価値を評価するものではない。